〜光が満ち溢れる会堂〜
■経緯
建築場所は、JR吉祥寺駅から北へ10分、閑静な住宅街の一角にあります。旧会堂が手狭になり、隣地拡張の好機に恵まれ、従来の倍以上の人々が集える新会堂として計画されたものです。
実は、私は若い頃、このキリスト集会で洗礼を受け、その後仕事にかまけて遠ざかり、最近復帰を許されたという経緯があります。そこで、今回は建築家としての視点はもとより、自分がここに来れば神様と対峙し常に謙虚になれる、心を落ち着けることのできる会堂とはどういうものかを第一に考えて設計をすすめました。
■全体構成、外観
全体の敷地面積は706u、敷地内に新・旧会堂と中庭や緑樹を配置。新会堂は外壁コンクリート造りの2階建で建築面積198u、正面は円筒形のガラスブロックと化粧壁で構成しました。「オフィスや大邸宅のようなたたずまいだ」という方もいますが、中に入ると部屋全体に木を用いた光あふれる礼拝堂が目に飛び込んできます。
■光あふれる礼拝堂
教会建築は伝統的に天上からの光を神の意思と捉えステンドグラスなど採光を重視していますが、私も聖書から受けた「光」をテーマに、人々が自然光にふんだんに照らされる空間を作ろうと考えました。
そこで、2階の主礼拝堂の壁と屋根の間にはスリット(隙間)、正面にガラスブロックの塔、側壁窓を設けました。外光を天然素材(木材)でできた礼拝堂に採りいれ、時にはそれをコントロールしながら、新鮮な中に自然を感じられる空間をつくりました。
■誰もが気軽に安心して集える空間づくり
新しい会堂は、鉄筋コンクリート造2階建て、延床面積389uです。2階の礼拝堂は218席、1階の礼拝堂は約150席、旧会堂を合わせて集えます。
それぞれに大型スクリーンを設置し、礼拝堂の様子が音声とともに映し出されるので、部屋は別々でも心を合わせて礼拝できる空間です。
1階礼拝堂の講壇の下には手動で開閉式の洗礼槽を設置。礼拝堂の周囲には、約5坪の母子室を付設。母子室にはスクリーンとスピーカーのほか、子供用トイレ、礼拝堂が見える窓もあります。
1階は、湿度を調整する働きのある珪藻土を塗り壁に採用するなど、自然素材をふんだんに使用しています。
また、2階は板張りの内装でやわらかい雰囲気を作り、居心地を高めています。
■環境との調和
新会堂の建築と並行して、旧会堂のコンクリートの補強や天井の防水といった改修工事を行いました。玄関も新会堂と調和するようリフォームしました。
また、緑化、日照権・景観といった近隣地区との環境調整に力を注ぎました。
(所長 宮坂正寛)
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